目次
1.なぜ現代のデザイナーにオブジェクト指向が必要なのか
現代のデザイナーに求められている役割は、単に見た目を整えることではありません。SaaS、業務システム、Webアプリケーションなど、複雑なプロダクトが増えた現在、デザイナーは「構造」を設計する存在になっています。
優れたUIは、美しいから優れているのではありません。プロダクトの構造を正しく表現しているから優れているのです。そして、その構造を設計するために不可欠な思考法が「オブジェクト指向」です。
オブジェクト指向はエンジニアのための概念だと思われがちですが、実際にはデザイナーにとっても極めて重要な設計思想です。複雑なプロダクトを扱う現代のデザイナーにとって、必須の知識と言っても過言ではありません。
2.オブジェクト指向とは何か
オブジェクト指向とは、プロダクトの中に存在する対象(オブジェクト)を中心に構造を設計する考え方です。たとえばタスク管理ツールには、次のような対象が存在します。
- ユーザー
- タスク
- プロジェクト
- コメント
これらはすべて、プロダクトの中で意味を持つ「オブジェクト」です。そして、それぞれのオブジェクトには属性と状態があります。
- タスクにはタイトルがある
- 担当者がいる
- 期限がある
- 状態(未完了・完了)がある
UIは、これらのオブジェクトを表示し、状態を変更するためのインターフェースです。つまり、UIとはオブジェクトの構造を視覚的に表現したものなのです。
3.動詞中心の設計が引き起こす問題
多くのプロダクトでは、無意識のうちに操作を中心に設計が行われています。たとえば、次のような考え方です。
- タスクを作成する画面
- タスクを編集する画面
- タスクを確認する画面
- タスクを完了する画面
この設計では、「タスク」という対象そのものではなく、「作成」「編集」「確認」といった操作が中心になっています。その結果、同じタスクであるにも関わらず、画面ごとに表示される情報が異なるといった問題が発生します。
さらに、機能が増えるたびに新しい画面が追加され、UIは徐々に複雑になっていきます。
- 承認する画面
- 差し戻す画面
- 共有する画面
- アーカイブする画面
本来はタスクの状態が変わるだけであるにも関わらず、操作を中心に設計すると画面が増殖し、構造の一貫性が失われます。
4.構造を中心に設計することでUIは安定する
オブジェクト指向で設計されたプロダクトでは、中心にあるのは常にオブジェクトです。画面はオブジェクトを表示するための異なる形式に過ぎません。
- 一覧画面は、オブジェクトの集合を表示する
- 詳細画面は、オブジェクトの属性を表示する
- 編集画面は、オブジェクトの属性を変更する
この設計では、オブジェクトの定義は常に一貫しています。そのため、UIは再利用可能で、拡張に強くなります。
5.オブジェクト指向はコンポーネント設計の基盤である
Figmaなどでコンポーネントを設計する際、それは単なる見た目のパーツではありません。それはオブジェクトの視覚表現です。
たとえばTask Cardは、タスクというオブジェクトの属性を表示するコンポーネントです。この視点で設計することで、コンポーネントは再利用可能になり、UI全体の一貫性が保たれます。
6.ただし、オブジェクト指向が常に最適とは限らない
オブジェクト指向は構造の設計に優れていますが、すべてのケースで最適とは限りません。
- ブランドサイト
- ランディングページ
- ストーリー性の強い体験
これらでは、構造よりも体験の流れや感情が重要になります。重要なのは、適切に使い分けることです。
7.まとめ
現代のデザイナーは、画面を作るだけの存在ではありません。プロダクトの構造を設計する存在です。
オブジェクト指向を理解することで、UIは一貫性を持ち、拡張可能になります。そして、デザイナーはより本質的な設計に関わることができるようになります。
優れたUIは、見た目からではなく、正しい構造から生まれます。
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