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約7割が課題不明確なままAI導入――成果を分ける「課題設定」と、AIを目的化させない進め方

約7割が課題不明確なままAI導入――成果を分ける「課題設定」と、AIを目的化させない進め方

目次

  • 具体的な業務課題を設定していた企業は、わずか28.1%。AI導入を事業成果につなげるために必要なこととは
  • 具体的な業務課題を設定していた企業は、わずか28.1%
  • 課題が明確な企業では7割超が成果を実感、不明確な企業は34.0%
  • AI導入を先に決めた企業の期待未達率は73.5%――具体的な課題があった企業の約2.5倍
  • 半数超が経験する「AIを使うこと自体の目的化」
  • なぜAI導入は「手段先行」になりやすいのか
    • 経営方針と現場の課題が接続されていない
    • 導入そのものが進捗として評価されやすい
    • AIでできることと、自社に必要なことが混同される
    • 成果指標が決まっていない
  • 「課題を明確にする」とは、仕様をすべて決めることではない
  • AI導入を成果につなげる5段階の進め方
    • 1.現状の業務と課題を可視化する
    • 2.目指す状態と評価指標を決める
    • 3.AIが適した課題かを判断する
    • 4.PoCで事業価値と実用性を検証する
    • 5.本番運用と継続改善まで設計する
  • AI活用の定着に必要な支援、4割超が「教育」と「課題の明確化」を指摘
  • 「AIを入れる」より先に、「AIが必要な課題か」を見極める
  • 調査概要

具体的な業務課題を設定していた企業は、わずか28.1%。AI導入を事業成果につなげるために必要なこととは

生成AIをはじめとするAI技術は、企業の業務改善や新規サービス開発において、急速に身近な存在になっています。

文章作成、問い合わせ対応、情報検索、データ分析、画像認識など、AIを活用できる領域は広がり続けています。一方、AIを導入したすべての企業が、期待した成果を得られているわけではありません。

「経営層の号令でAI導入が決まったものの、具体的な使い方が現場任せになっている」
「AIツールを導入したが、一部の社員しか使っていない」
「PoCを実施したものの、成果を評価できず本番導入へ進めない」

こうした課題の背景には、「何を解決するためにAIを使うのか」が十分に整理されないまま、導入自体が先行しているという共通点があります。

私たちEngineerforceは、企業・組織でAIや生成AIの導入・活用に関わるビジネスパーソン217名を対象に、「業務におけるAI導入・活用の実態調査」を実施しました。

本記事では、調査結果をもとに、企業のAI活用が目的化する背景と、成果につなげるための具体的な進め方を解説します。

調査結果の詳細はこちら

具体的な業務課題を設定していた企業は、わずか28.1%

AI導入前に、業務課題をどの程度まで明確にしていたかを尋ねたところ、具体的な業務課題を設定していた企業は28.1%でした。

AI導入前に具体的な業務課題を設定していた企業は、わずか28.1%

内訳を見ると、数値目標まで具体的に決まっていた企業はわずか2.8%、業務課題まで具体的に決まっていた企業は25.3%です。

一方、最も多かったのは「大まかな目的はあったが、対象業務までは決まっていなかった」の37.8%でした。

さらに、「AI導入を先に決め、その後に活用方法を検討した」と「明確な業務課題や目的は決まっていなかった」が、それぞれ15.7%となっています。

約7割が、対象となる業務課題を十分に具体化しないままAI導入を進めていたことになります。

課題が明確な企業では7割超が成果を実感、不明確な企業は34.0%

課題設定が明確だった企業では、72.1%が「期待していた成果を十分に得られている」または「期待以上の成果を得られている」と回答しました。

一方、課題設定が不明確だった企業で、十分な成果を実感している割合は34.0%にとどまっています。
期待未達率についても、課題設定が明確だった企業では27.9%だったのに対し、不明確だった企業では63.3%でした。

AI導入の成否は、使用するモデルやツールだけで決まるものではありません。
対象となる業務、現在の問題、改善したい指標を導入前にどこまで具体化できているか。その準備段階の質が、導入後の成果と深く関係していると考えられます。

課題設定の段階課題設定の段階期待未達率
数値目標まで具体的に決まっていた(n=6)83.3%16.7%
業務課題は具体的に決まっていた(n=55)70.9%29.1%
大まかな目的はあったが対象業務は決まっていなかった(n=82)35.4%63.4%
明確な課題は決まっていなかった(n=34)41.2%52.9%
AI導入を先に決め、その後に活用方法を検討した(n=34)23.5%73.5%

AI導入を先に決めた企業の期待未達率は73.5%――具体的な課題があった企業の約2.5倍

「AI導入を先に決め、その後に活用方法を検討した」企業の期待未達率は73.5%でした。
「業務課題は具体的に決まっていた」企業の期待未達率29.1%と比較すると、約2.5倍です。

AIは幅広い業務に利用できる技術です。しかし、利用できる範囲が広いからこそ、対象業務を絞らずに導入すると、「導入した後で使い道を探す」という状態に陥りやすくなります。

技術的に実現できることと、自社が解決すべき課題は、必ずしも一致しません。

半数超が経験する「AIを使うこと自体の目的化」

「AIを使うこと自体が優先されている」と感じた経験がある人は53.5%でした。
目的化を感じた場面では、「まずAIを使うという前提で、施策や業務改善の検討が始まったとき」が51.7%で最多となっています。

続いて、次の回答が挙がりました。

  • 具体的な目標が決まっていなかったとき:34.5%
  • AIで解決する必要がない業務にも利用を求められたとき:24.1%

本来、AIは業務課題を解決するための選択肢の一つです。

しかし、「課題を特定してから解決手段を選ぶ」のではなく、「AIを導入してから使える課題を探す」という順序になると、適用業務や評価基準が曖昧になります。

その結果、現場では「何に使えばよいのか分からない」「従来の方法より手間が増えた」「AIの出力を確認する作業が増えた」といった問題が起こりやすくなります。

なぜAI導入は「手段先行」になりやすいのか

AI導入が目的化する背景には、複数の要因があると考えられます。

経営方針と現場の課題が接続されていない

経営層が「AIを活用して生産性を高める」と示しても、対象業務や目標まで具体化されていなければ、現場は使い方を自ら探すことになります。

導入そのものが進捗として評価されやすい

AIツールの契約やPoCの開始は、社内で進捗として報告しやすい取り組みです。一方、業務観察やユーザーヒアリング、課題の優先順位付けは、重要であっても成果が見えにくい工程です。

AIでできることと、自社に必要なことが混同される

AIの機能紹介を起点にすると、「この機能をどこかで使えないか」という発想になりがちです。AIの利用可能性ではなく、業務への影響や費用対効果から適用領域を判断する必要があります。

成果指標が決まっていない

「業務を効率化する」といった抽象的な目標だけでは、導入後の成果を評価できません。作業時間、処理件数、エラー率、人による修正量など、導入前後を比較できる指標が必要です。

「課題を明確にする」とは、仕様をすべて決めることではない

AI導入前に課題を明確にすることは、最初から詳細なシステム仕様をすべて決めることではありません。

AIは、実際のデータや利用者の反応を確認しながら、精度や使い方を調整していく必要があります。

少なくとも、次の内容を言語化することが、AI導入の出発点になります。

  • 誰が困っているのか
  • どの業務で問題が発生しているのか
  • 現在どれくらいの時間やコストがかかっているのか
  • AI導入によって何を改善したいのか
  • 成果をどの指標で判断するのか
  • 誤りが発生した場合、どのような影響があるのか
  • AIの出力を誰が確認するのか

「AIを導入する」という手段ではなく、「現在の業務をどのような状態へ変えたいのか」を定義することが重要です。

AI導入を成果につなげる5段階の進め方

1.現状の業務と課題を可視化する

対象業務の流れ、担当者、使用するデータ、判断が発生する箇所を整理します。現場へのヒアリングを通じて、経営層が認識している課題と実際の業務課題にずれがないかも確認します。

2.目指す状態と評価指標を決める

「問い合わせ対応を効率化する」だけでなく、「平均回答時間を30%短縮する」など、成果を判断できる指標へ落とし込みます。

3.AIが適した課題かを判断する

条件が固定されている業務では、ルールベースの自動化や既存システムの改修の方が安価で安定する場合もあります。技術の新しさではなく、課題との適合性で判断します。

4.PoCで事業価値と実用性を検証する

精度だけでなく、作業時間、利用者の負担、人による修正量、既存業務へ組み込めるかを確認します。本番移行、再設計、中止の条件も事前に決めます。

5.本番運用と継続改善まで設計する

利用データや業務ルールが変われば、AIの出力品質も変化します。担当者、更新頻度、モニタリング方法、問題発生時の対応まで設計する必要があります。

AI活用の定着に必要な支援、4割超が「教育」と「課題の明確化」を指摘

AI活用の定着に必要な取り組みとして、最も多かったのは「社員向けのAI研修・教育」の43.8%でした。
次いで、「AI導入前に解決する業務課題を明確にする」が42.4%となっています。

また、「業務フローの設計」は30.9%、「KPI設定」は27.2%でした。

AI活用を定着させるには、教育、課題設計、業務フロー、ルール整備、効果測定を一体として進める必要があります。

「AIを入れる」より先に、「AIが必要な課題か」を見極める

EngineerforceのAI開発支援では、最初からAIシステムの仕様を決めることはありません。

まず確認するのは、次の3点です。

  • 現在、どの業務で問題が起きているのか
  • その業務をどのような状態へ変えたいのか
  • その変化を実現する手段として、本当にAIが適しているのか

AIは有力な選択肢ですが、あらゆる課題に対する正解ではありません。

私たちは、ユーザーヒアリングや業務分析を通じて、担当者の作業、判断が発生する箇所、利用できるデータ、現在の負担を可視化します。

そのうえで、AI、既存システムの改修、ルールベースの自動化、業務フローの変更などを比較し、費用対効果の高い方法を検討します。

AIの利用が適切だと判断した場合は、PoCの前に評価指標を設計します。AIの精度だけでなく、作業時間をどの程度削減できたか、人による修正がどの程度必要か、現場で継続的に利用できるかまで検証します。

さらに、AIへ任せる範囲と、人が確認・判断する範囲を明確にします。誤出力の影響や機密情報の取り扱いも踏まえ、業務へ安全に組み込める形を設計します。

Engineerforceが目指しているのは、AIを導入した実績を作ることではありません。

AIによって業務が改善され、現場で利用され、数値として成果を確認できる状態を作ることです。

対象業務がまだ決まっていない段階でも構いません。「自社のどの課題にAIを使うべきか」という検討から、PoC、本番構築、運用改善まで伴走します。

EngineerforceのAI開発支援を見る

調査概要

  • 調査対象:企業・組織でAIや生成AIの導入・活用に関わっている方217名
  • 調査方法:インターネットアンケート調査
  • 調査期間:2026年10月7日~10月13日

※本調査は回答者の自己評価に基づく横断調査であり、課題設定の明確さと導入成果の因果関係を直接証明するものではありません。
※構成比は端数処理により、合計が100%にならない場合があります。

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